特に何も起こらない日の正確な記録

電車、出勤

朝は目覚ましが鳴る三分前に自然と目が覚めた。若い頃なら布団の中で粘ったものだが、40代になると「このまま寝たら遅刻する」という根拠のない不安が勝つ。結局、目覚ましが鳴る前に起き、勝ったような負けたような気分のまま洗面所へ向かう。鏡に映った自分は昨日とほぼ同じで、変化がないことに少し安心する。


インスタントコーヒーを飲みながら天気予報を見るが、晴れでも雨でも一日の流れは変わらないと気づき、途中でテレビを消す。通勤電車では奇跡的に座れたものの、特にやることもなく、スマホのニュースも見出しだけ眺めて閉じた。広告に書かれた「人生が変わる」という言葉を見て、変わらない人生も悪くないと思う。


会社に着くとメールは思ったより少なく、ほっとした直後にどうでもいい会議の招集が届く。会議では誰かが話し、誰かがまとめ、特に意味のない結論が出る。自分はうなずく役に徹し、無難に時間を消費した。


昼休みはいつもの定食屋で、いつものメニューを選ぶ。味は分かっているが、外れる心配がないのがいい。午後は眠気と戦いながら資料を少し進め、「今日はここまででいいか」と自分に甘くなる。


定時には帰れず、かといって大した残業でもない中途半端な時間に退社する。帰宅後、ソファに座ってテレビをつけ、内容をほとんど理解しないまま少しうとうとする。気づけば一日が終わっていた。特別な出来事は何もない。でも、それなりに無事だった。それで十分だと思いながら、静かに電気を消す。